経営管理 Cash Flow スキーム

給与ファクタリングって何?概要をわかりやすく解説します。

こんにちは、TAKです。
突然ですが、「給与ファクタリング」という言葉をご存知ですか?
昨年あたりから日本経済新聞でも記事になったりと、少し話題になっているので今回紹介したいと思います。

僕も「ファクタリング」という言葉は知っていましたが、「給与ファクタリング」という言葉自体は聞いたことがありませんでした。今回は給与ファクタリングの利用を考えている方や、利用は考えていないが仕組みを知りたいと思っている方向けに概要を紹介していきます。

【こんな人に読んで欲しい記事です】
1. 「給与ファクタリング」について知りたい方
2. 「給与ファクタリング」を利用しようか迷っている方(利用者側)
3. 「給与ファクタリング」について、企業としてすべきことがあるか知りたい方(企業側)
忙しい方向けにざっくりと結論だけまとめるとこのようになります。
給与ファクタリングとは、給与を担保として即時現金化する手段
利用を検討している方向け・・・やめましょう
企業としてすべきことは?・・・特にない(そもそも把握難しい)が、自社の従業員を守る観点から、相談に乗ってあげる環境作りが大事

給与ファクタリングの仕組み

登場するプレイヤーは「3人」

まず最初に、「給与ファクタリング」を理解するために、このスキームで出てくる登場人物を整理しておきます。一般的な形としては、下記3人のプレイヤーが登場します。

1. 利用者・・・企業で働いているサラリーマン。企業から給料をもらう。
2. ファクタリング業者・・・利用者と直接取引。企業との絡みは通常ない。
3. 企業・・・利用者を雇用している企業。利用者に対して給料を支払う立場。
この三者が登場するのですが、「三者間取引」とはなっていません
つまり、「給与ファクタリング」の取引に「直接」関係しているのは、利用者とファクタリング業者だけです。ただ、利用者は「企業から毎月もらう給料」を利用してファクタリング業者とやり取りするため、企業側は「間接的」に関係していることにはなります。
給与ファクタリングは「個人版」ファクタリング

では実際に、給与ファクタリングとは何でしょうか?
これは、毎月企業からもらう「給料」を事実上の担保として、ファクタリング業者から即時現金化してもらう手段を意味します。

これだとよくわからないかもしれないので、各プレイヤーの立場に立ったやり取りを会話形式で紹介したいと思います。

A社責任者
A社責任者

来週は給料日。今月もみんな頑張ってくれたな。
みんな自分の好きなことに使ってるんだろうな〜

A社従業員
A社従業員

ヤバイ!お金が足りない!
来週の給料日まで待てないよ〜
クレジットも上限でヤバめだし、何かいい方法ないかな?

 

ファクタリング業者
ファクタリング業者

「給与ファクタリング」使ってみませんか?
来週お給料が振り込まれたら、額面金額くれればOKです。
今すぐ現金渡せますよ。(手数料取るけどね)

A社従業員
A社従業員

ラッキー!要は「給料の前借り」が出来るってことね。
今すぐ利用したいので申し込ませてもらいます〜!

このやり取りで何となくイメージはつかめましたかね?
会話部分で「赤字」にしている箇所がポイントです。
各プレイヤーのモチベーションとポイントをまとめると下記のようになります。

企業側・・・自社の従業員がお金に困っているなんて知らない(知り得ない)
利用側・・・「給料日まで待てない。今すぐお金が欲しい」ことが利用のモチベーションになっている。そして、給料の前借り感覚に陥っている。
業者側・・・企業が利用者に支払う給料を担保として、即時現金化出来るメリットを利用者にアピールする。そして、法外な手数料を取る。

「即時現金化」という側面に着目すると、これは企業が資金調達の手段として利用する「ファクタリング」に似ていることがわかります。
詳細は割愛しますが、企業が保有している「売上債権」を約定日前に現金化したいときに使う方法で、これを「個人」に適用したのが「給与ファクタリング」と言えそうです。
(だからこそ、ファクタリングという言葉が使われているのでしょうが。)

給与ファクタリングの「位置付け」

以上が「給与ファクタリング」の基本的なスキームとなります。
次に、給与ファクタリングの法的位置付けについても軽く触れておきたいと思います。というのも最近、金融庁が日本ファクタリング業界からの「給与ファクタリング」に関するノンアクションレターに対する回答を発表したためです。

ザックリまとめると、こんな感じです。

日本ファクタリング業協会という団体がある
・「給与ファクタリング」の被害相談が増えている背景がある
・なぜなら、給与ファクタリングには貸金業法」が適用されず、上限金利200%を超えるような「法外な手数料」が利用者に課せられているため
・公正な取引推進の観点から、協会が「これおかしくない?給与ファクタリングにも貸金業法が適用されるべきじゃない?」と金融庁に意見求める
・結果、金融庁が「確かに給与ファクタリングは貸金業に該当するスキームだね。今後法規制を整えていくことにするよ」と回答
※ノンアクションレターに関する詳細な内容はコチラをご参照ください。
ファクタリング業者としては、給与ファクタリングのスキームは「貸金業」ではなく、「給与債権」の「売買取引」と主張していたそうです。これに対して金融庁が、「業者と利用者の二者間で実質的にお金の貸し借りがなされている性質を重視すると貸金業と言える」と判断したわけですね。
これにより、今後給与ファクタリングに「貸金業法」が適用されれば、法外な手数料が取られることはなくなり、利用者の保護が多少図られることになりそうです。
ただ、現時点で法規制化されたわけではないようなので、その点は注意が必要です。

【利用者向け】給与ファクタリングはやめた方がいい

ここからは、「利用者側」と「企業側」とにわけて「給与ファクタリング」に対してどのように向き合っていくべきかを検討したいと思います。

まずは「給与ファクタリング」の利用を検討している方です。
結論から言ってしまえば、やめた方が賢明かと思います。

「お金が今すぐ必要」と思っている方にこのようなことを言うと、「私の気持ちなんて知らないくせに!」と怒られてしまうかもしれません。
確かにお金が今すぐ必要な事情まではわかりませんが、一度「給与ファクタリング」に手を出してしまうと、おそらく泥沼化してしまうと思います。

もっと言うと、「お金が足りない」という状況を一時的に解消するだけであり、根本的な問題解決にはならないでしょう。

例えば、給料日まで待てば20万円振り込まれるのに、「今すぐお金が必要」という理由で給与ファクタリングに頼っても、(正確な数字はわかりませんが)10万や15万程度しか現金化されません。少し待てば自分の労働の対価を「給料」として満額もらえるのに、それを犠牲にして他者にお金をあげてしまっているのと実質的には同じ効果を生み出しています。

すぐに給料を増やすことは難しいかもしれませんが、例えば副業に挑戦してみたり、自分の収入を増やす手段を考えてみるいい「キッカケ」にしてみてはどうでしょうか?
「自分の会社では副業は認められていない」と言われる方もいるでしょうが、もし僕が同じ立場なら事情を話して交渉してみます。

給与ファクタリングを利用した結果「自己破産」してしまった方も多くいらっしゃるので、どうしても利用したいといった方は、最悪のシナリオも描いておいた方がいいと思います。

【企業側向け】会社は「環境作り」を意識しよう

最後に「企業側」の「給与ファクタリング」に対する向き合い方を紹介します。
一番最初のサマリでも書きましたが正直、企業としてすべき「Must事項」はありません。なぜなら、この「給与ファクタリング」というスキームの当事者は「企業」ではなく「従業員」だからです。

それでも、「従業員を守る」という観点から「何かできないか」と考えられる企業になれれば、従業員の企業に対するロイヤルティ(忠誠度)は向上するでしょう。
「もし僕だったらどうするか」という視点で簡単にアイデアを共有したいと思います。

【アイディア①】コーチング面談の導入

一つ目のアイディアは「コーチング面談」の導入です。
これは、従業員とのラフなミーティングを定期的に取り入れるようなものです。
通常、上司側が一方的に話す機会が多く、「部下が自分の思いや考えを上司に打ち明ける場がほとんどない」のが日本企業の特徴です。

給与ファクタリングの利用を従業員が検討していても知り得ない、とお伝えしましたが、企業として「従業員のことを知る努力」を「したかしないか」では大きく意味が異なります。入り込み過ぎも良くないのが日本独特の厄介かつ難しい点ですが、少なくとも「コーチングのような場」を設けてあげるのは大事だと思いますよ。

【アイディア②】副業を認める

二つ目のアイディアは、「副業」を認めることです。
従業員の立場としては給料を上げて欲しいといった声が多いでしょうが、パフォーマンス関係なく一律給与upは当然無理ですし、やめた方がいいです。
ただ、せめてダブルワークを認めるような環境づくりをしてあげるべきでしょう。

大手企業でもダブルワークを認める企業が増えてきています。
有名企業だと、リクルートホールディングス、サイバーエージェント、Yahoo、LINE、丸紅などが挙げられます。「うちは大手じゃないから無理!」と一蹴するのではなく、導入に向けた「仕組み作り」をしてみても面白いのではないかと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は「給与ファクタリング」をテーマに記事を書いてみました。

「即時現金化」といった謳い文句に目がいきがちですが、即効性のある方法には副作用があります。
長期的な視点で、自分がもっと生きやすくなるような選択肢を取るべきだと個人的には思います。

最後には副業も紹介しましたが、僕のブログでは可能性を広げる目的で、色々なビジネス系の記事を書いています。興味が持てるテーマがあれば、良ければ参考にしてみてください。

最後に、僕は公認会計士なので法律系の内容も多少わかりますが、弁護士ではありません。実際に給与ファクタリングで悩んでいる方は、僕に相談してもらってもいいですが、最終的には専門の弁護士先生に相談することをオススメ致します。

では今回はこのへんで。