Netflixオリジナル作品「梨泰院クラス」のストーリー考察【結末に納得いかない人向け】
こんにちは、たなです。
Netflixオリジナル作品「梨泰院クラス(イテウォンクラス)」見ましたか?
僕は2022年のゴールデンウイークを利用して一気に見てしまいました。
興奮冷めやらぬ中、感想や考察を書いておきたいと思います。本記事ではすでに作品を見られた方を対象にした「ネタバレあり」の内容となっているのであらかじめご了承ください。また、作品へのリスペクトを持った上で自由に考察しておりますので、その点もあわせてどうぞ。
「梨泰院クラス見たけど、なんだか納得できない」
という人とは気が合いそうです。
本記事の内容
- 梨泰院クラスを全話見た上での評価と感想
- 梨泰院クラスで一番残念だったこと
- その他残念だったこと
- 梨泰院クラスで一番良かったこと
- 梨泰院クラスという作品から得た教訓
Netflixオリジナル作品「梨泰院クラス」感想と考察【ネタバレ注意です】
実際に梨泰院クラスを見られた人はどのような感想を持っているか気になりますね。
僕個人の意見・感想として見て頂ければさいわいです。
梨泰院クラスを全話見た上での評価と感想
星5段階で評価するなら、みなさんは星いくつ付けますか?
結論、僕は「星3.2個」くらいの評価でした。
食べログで言えばまあまあといったところですが、ちょっと低めかもしれません。
感想をひとこと言うなら「惜しかった」。
もっと良い作品に出来たはずなのに、なんでこんな結末にしたのかというのが本音です。現に、1話見てから13話くらいまでは星5個の評価だったくらいです(本作品は全16話)。
期待の裏返しの評価ではありますが、第1話からのインパクトやストーリーへの没入感は異常なくらいでした。ホントに13話くらいまでは、今まで見た作品の中で一番面白いと思っていたほど。
具体的に何が惜しかったと感じているのか、具体的なストーリーや考察を交えて話していきたいと思います。
梨泰院クラスで一番残念だったこと
まずは作品を通して一番残念だったことから。
僕の梨泰院クラスへの評価を下げた要因とも言える部分を掘り下げていきます。
結論、一番残念だったのが、パク・セロイがバスに乗るオ・スアに「お前を長家から解放してやる。もう少し待っててくれ」的に放ったシーンがないがしろにされた点。たしか6話の最後らへんのシーンです。
セロイと長家の間で揺さぶられ辛い日々を過ごすスアの心を救う言葉の数々。スアも後日「あれは告白だった」と解釈するほどの男気ある言動でした。
なのに、なぜかこの約束だけは果たせなかったように思えるのが一番残念。最終話でもセロイはチョ・イソに対して「一度約束したことは果たす」と有言実行な堅実人間をアピールしているのに、スアへの約束はどこへ行った…という感じ。
多くの人は、イソじゃなくてスアと結ばれて欲しかったと感じている気がします。
わかる。でも個人的には信念を曲げない堅物のセロイがどっちを選ぶかなんて、興味はありましたが正直どっちでも良かったです。そもそも恋愛ドラマではなく、復讐劇だから。父親への想いと、苦い夜を少しでも甘くのコンセプトで始めた「タンバム」の成長を通じたサクセスストーリーである以上、恋愛が絡んだとしても「セロイの信念」で選ぶと思っていました。
そういった意味で、あのシーンは「恋愛がからむならスアを選ぶ」と示唆していたように思えてしまうのです。①セロイのスアに対する好きな理由の曖昧さ、②本気で好きなら他の男に取られたくない精神で復讐中でも手に入れようとする。この2点から雲行きの怪しさは感じていましたが、まさか本当にそうなってしまうとは。。。
初恋の人の気持ちを裏切ってしまってもいい。他の男が好きだった女性を途中から好きになってもいい。ただ、それならあのバス停でのシーンは何だったの。。。と思ってしまうのが、唯一の心残りなのです。
その他残念だったこと
他にも残念だった点はいくつかあります。それをまとめたものがこちら。
- ラスト3話のアクション要素
- チャン・グンウォン(長男)のクソっぷり
- チャン・グンス(次男)のイメージダウン
- チャン・デヒ(会長)の最期
- 最終話でのラブシーン
ラスト3話のアクション要素
「バス停のシーンが一番残念だった」と書きましたが、ストーリーの流れ的に一番悔やまれるのがラスト3話。急にイソが悪の組織に誘拐されて救い出すまでの話。
セロイのイソへの気持ちを確かなものにするためのイベントだったと理解はしていますが、これいる?というのが率直な意見。チャン・デヒ(会長)に邪魔されながらも、仲間と一緒にタンバムを大きくしてきたサクセスストーリーだったのに、いきなり恋愛色強めのアクションがカットイン。
セロイが刑務所に入っている時に出会った反社の親玉を登場させたかったのもわかる。セロイの開店記念で店に出向くほどの思いやりを持っていたのに、なぜかここ数年は関係が悪くなったと言っており、チャン・グンウォン(長男)になびく結末も残念。まあここは闇の組織だから結局はカネでしか動かないということなのでしょうかね。
あんなに殴り合うシーン、心の準備は出来てなかったし求めていなかったです。
チャン・グンウォン(長男)のクソっぷり
これも残念。
もちろんセロイの親父さんをひき逃げして命を奪った以上、そこは罪を償うべき。会長に見捨てられる形とはなりましたが、刑務所入りしたところまではスカッと爽快で最高の流れでした。
ただ出所してからが残念だった。グンウォンがスアと再会して居酒屋で会話するシーンを振り返っても「グンウォンは何かが変わった」感が出ていました。スアのセロイへの気持ちを確認した上で、好きな女の幸せは邪魔しないと言い放ったにもかかわらず、結局は金で闇の組織に手を出す始末。
結局は裏切られても父親に抗うことはできなかったことを意味しているのかもしれません。グンスをかばって車に引かれたセロイを見て「いつか見た光景だなぁ…」と言うセリフ。何も変わってなかったことを極めつけるセリフで泣けちゃいました。これじゃ正真正銘ただのクソ野郎じゃん(´;ω;`)
僕の一方的な期待だとはわかっています。でもせめて挽回のチャンスをあげて欲しかった。後継者候補になったチャン・グンス(次男)の天狗っぷりを正すために動くとか、父親の間違いを正すためにセロイ側に貢献するとか、水面下で動いて変わった姿を見せて欲しかった。
にしてもグンウォンの役者さん、顔が歪むほどの演技でめちゃくちゃ嫌な奴を演出していて本当にすごいと思いました。それだけに、出所後からの展開は残念で仕方なかったです。
チャン・グンス(次男)のイメージダウン
長男のみならず、次男までも。
イソとつるんでいた頃から思っていたこと。それは「いい子だなあ」という好印象。イソがセロイに迷惑かけた時も、タンバムで働いている時も、めっちゃ爽やか好青年でしたよね。
グンスが初めて変わりたいと望んだ自分の意志が「長家に行く」ことだったので、そのこと自体はあまり気になりませんでした。ただ、なんであんなにもイヤな奴になってしまったのだ(´;ω;`)
「グンス、君は一体セロイからなにを学んだの?」そう問いかけてしまうほど。
まあこれもわかりますよ。結局「チャン・デヒの血」が長男にも次男にも通っていたから、似たような末路をたどってしまったのだと。「血は争えない」という言葉をここまで体現したドラマは初めて見ました。
育った家庭環境を考えれば安易なことは言えないのですが、せめてグンスには「長家の後継者の座につく=イソが手に入る」という思考は捨てて欲しかったし、その成長過程でイソを惹きつける何かを起こして欲しかったですね。
チャン・デヒ(会長)の最期
最後はチャン・デヒ(会長)の最期。
長男と次男に比べれば、残念さは弱いですが、ただあんな最期は見たくなかったですね。韓国の外食産業トップにたつオーナー社長。オーナー一族が不正や汚職にまみれているのはあるあるですが、創業当初の想いがどこかに行ってしまったのは残念でした。
まあ汚職をはじめとした事件を金や権力で揉みつぶそうとしていた張本人なので、何もかばうつもりはありません。最後の土下座とか、ほんと虚無感で溢れましたよね。おじいちゃんのあんな姿、誰も見たくない(笑)
セロイには謝罪しましたが、あれは「土下座するから長家を買収しないで。俺が育てあげた我が子同然の会社だから、お前なんかに支配されたくない」という一心だったような気がします。セロイの会社がフランチャイズを始めるといったあたりから、いずれ価値が下がった長家を買収する流れは濃厚だなと予測していたものの、なんだかスッキリはしませんでした。
1つの小さな店から始めた同じ商売人として、最後は純粋に「この純豆腐チゲ、おいしいよ。これなら長家を任せられる」と言って欲しかったですね。
最終話でのラブシーン
結局、セロイはスアではなくイソを選びました。
そこに納得できない人も多いはず。僕はどっちでもいいとはいいましたが、そもそもバス停のシーンが根底にあるので、やはりなぜスアを選ばなかったのか疑問に思ってしまいます。
そこがネックだったからか、最終話のラブシーンは正直見てられませんでした。
イソの想いが通じたのは素晴らしいことだと思います。自分の人生すべてを懸けたいと思った相手と結ばれることほど、うれしいことはありませんからね。一見、無理と思える恋にも可能性があるとポジティブに解釈して勇気をもらえた人も少なくはないはず。
ただミスマッチ感がすごかったんですよね。そんなこと言うなと怒られそうですが、濃厚なキスシーンを視聴者に見せるなら、そこも考慮してもらいたかった。
先ほども書きましたが、そもそも「梨泰院クラス」というドラマに恋愛要素は求めてなかったので、いきなりセロイがイソにサランヘヨ連発してチュッチュされてもこちらは困っちゃうんですよね。相手がスアなら見れたと思うので、それだけあの二人がお似合いだったのかもしれません。これも勝手な期待ですが。
セロイは良くも悪くも堅物で信念を曲げない人。ファーストキスもしてないと言っていたので、恋愛経験もなかったということ。そんなマジメな人には「あなたは私を想ってる。早く私を解放して、復讐なんてやめて」というスアよりも、「私はあなたが好き。復讐を早く終わらせて、甘い夜を過ごして欲しい」というイソの方がまっすぐで心惹かれたのでしょうね。
梨泰院クラスで一番良かったこと
何だか残念なことばかり書いてしまいました。それだけ期待値が高かった証拠です。
もちろん作品を通して良かった点もあります。個人的に一番良かったと思ったのは、セロイの会長に対するリスペクト心でした。
復讐劇は難しいです。復讐が復讐を呼び、ドロ沼にハマってしまうから。NARUTOを知っている人ならば、サスケを思い出してもらえればその意味もわかるはず。まあこの作品も復讐を呼んでしまってはいるのですが、被害者であるセロイ自身が闇に染まらなかったのが良かった。
何よりも、敵であるチャン・デヒ(会長)の自伝を刑務所にいる間に読みふけるほど、店を出すために素直な心で学んでいたのが印象的。憎しみはあったものの、商売人として店を出し、その店を成長させることで復讐を果たそうとする「会社 vs 会社」の構造にしたのが何よりも魅力的でした。
会長はセロイを恐れるあまり、途中から汚い手を使ってたのでアウトでしたが、それに屈せず仲間とともにタンバムを大きく育て上げたセロイの姿には、多くのビジネスマンも心打たれたでしょう。
梨泰院クラスという作品から得た教訓
最後に本作品を通して、僕が得た教訓をまとめておきます。
- 教訓①:信念を貫ける人はかっこいい
- 教訓②:有言実行な人間であれ
- 教訓③:人は依存すると抜け出せない
- 教訓④:血は争えないことを知っておくべき
- 教訓⑤:飲食店は「味×立地×人」で決まる
- 教訓⑥:人の評価は相対的
- 教訓⑦:終わり良ければすべて良しの法則
教訓①:信念を貫ける人はかっこいい
セロイが本作品を通じて体現した姿そのもの。
復讐をするのが正しいのかは僕にはわかりませんが、権力や圧力に負けず、自分の信念にしたがって突き進むその生き様はかっこよかったですね。
「自分の信念は何か?」
それを考えさせられる作品でもありました。
話はそれますが「信念」と聞くと、僕が大好きな松井秀喜さんの著書「信念を貫く」を思い出します。
教訓②:有言実行な人間であれ
2つめの教訓は「有言実行な人間であれ」ということ。
言ったことは最後まで責任を持ってやる。当たり前のことですが、これがなかなか難しい。でも言ったことをやらない有言不実行な人間は信頼を失います。
現に、セロイのバス停のシーンについて、本記事で僕にネチネチ言われてしまうくらい、言ったのにやらないのは誰かに不信感や違和感を感じさせます。
言ったことは責任を持ってしっかりやり遂げる。自戒の念も込めてそう思いました。
教訓③:人は依存すると抜け出せない
「梨泰院クラスのキーワードは何か?」と聞かれたら、僕は「依存」の二文字が思い浮かびます。
セロイを中心としたタンバム側の人間は「依存していなかった」のに対して、長家側に所属していた人間は「何かに依存していた」ように思えました。結果、依存していた長家側のキャラクターが落ちていったように思えます。
中でも、スアとグンウォン(長男)の依存具合いが顕著。
スアは自らの選択でセロイの敵となる長家側につくことになります。奨学金を出してもらうなど、最初は抗えない状況にあったのも理解していますが、長家に就職し、そのまま働き続けました。そして思いを寄せるセロイと長家の間で板挟みにあう始末。
これ、結局は自業自得だったんですよね。会長の余命を打ち明けられた時にも言われていましたが、スアは奴隷として飼いならされていただけ。つまり長家に依存してしまっていたのです。それでいて、セロイにも依存をしていた。
人は何かに依存すると、他力本願になる傾向が強いのです。
スアは最後になって、ようやく自分の意思で長家を抜け出せましたが、それまでは長家にもセロイにも頼っていたように思えます。
グンウォン(長男)もそうですよね。父親である会長にずっと依存してきた。長家のブランド、父親を後ろ盾にした権力、金など、自分の外側にある環境に依存したため、結局自分では何も出来ませんでした。
恋愛でも仕事でも「依存」関係はそこら中に潜んでいます。出来るだけ何かに依存せず、自分の力でやっていけるようにしていきたいものですね。
教訓④:血は争えないことを知っておくべき
あまり好きな言葉ではありませんが「血は争えない」ことは頭に入れておいてもいいのかなと感じました。
会長の息子たちが会長そっくりだったように、自分も親の何かを受け継いでいる可能性がある。それを認識した上で言動に気をつけていれば、親の良い所は活かし、親の悪い所を潰すことも出来るはず。
「親に似たくなくても、似ている部分はあるかもしれない」
そんなことを思いましたね。
教訓⑤:飲食店は「味×立地×人」で決まる
長家、タンバムともに小さなお店から成長しました。
飲食店を成長させるには、オーナーの素質はもちろんですが、やはり「味」「立地」「そこで働く人」で決まるなあと改めて感じましたね。
イソがインフルエンサーとしてSNSで宣伝をしてくれましたが、あれも立地あってこそ。集まった人に対して、居心地の良い空間で美味しいごはんを提供できるか。そしてリピートしてもらえるかが生き残り成長し続けるための秘訣。
梨泰院クラスをみて「飲食店ビジネスを始めよう」と思われた人は、タンバムのようなお店を目指して欲しいですね。
教訓⑥:人の評価は相対的
グンス(次男)が長家に行ってからの豹変ぶりに驚いた人は少なくないはず。
僕もそうだったのですが、ラスト3話でグンウォン(長男)が出てきた時に「上には上がいる」と悪い意味で思いました。
グンスも嫌がらせをするなど、十分憎たらしい役でしたが、グンウォンと一緒にいるグンスはなぜか「マシ」に見えました。それを見て、人に抱く評価は相対的なんだなと思いましたね。悲しいですが。
教訓⑦:終わり良ければすべて良しの法則
最後の教訓。
ドラマに限らずですが「終わり良ければすべて良し」ということ。最初や途中がどんなに悪かったとしても、最後が良ければ全体的に良かったと思えるのが人間の心理。
梨泰院クラスは僕の中では真逆。最初から13話くらいまでは最高だったのに、最後3話にかけて株価暴落といった印象でした。
仕事でもなんでも、終わりを良くして全体の印象を高めていきたいものですね。
まとめ:梨泰院クラスは時間を忘れて楽しめる作品。ただ結末には納得いかない点がマジで残念
梨泰院クラスについてネタバレありで考察・感想を自由に書かせてもらいました。
僕の作品への理解が足りていない部分や一方的な期待もあったかと思います。いずれにしても、あーだこーだ言いながら考える時間はとても楽しかったです。
梨泰院クラスに感謝します。
最後に鬼リピしているお気に入りの曲「Someday, The Boy」を貼っておきます。