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コロナショックから考える「人件費」のあり方

こんにちは、TAKです。
2020年3月末近くになっても、未だコロナウイルスが終息する気配がありませんね。
今回は、コロナの影響でニュースとなった企業事例2つを参考に「人件費」について考えてみたいと思います。

【こんな人に読んで欲しい記事です】
1. 「人件費」について今一つわかっていない方
2. 「人件費の変動費化」に興味がある方

今回取り上げたい企業事例は「オリエンタルランド」と「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。
話題となったニュースサマリが下記です。

オリエンタルランド
非正規雇用の労働組合がオリエンタルランドに休業手当を要請(参考記事)
シルク・ドゥ・ソレイユ
従業員の95%に相当する約4,700人を解雇(参考記事)
この2つの企業に限った話ではないですが、コロナウイルスの影響をもろに受けているのは「人を集める必要がある」オフライン事業です。外出禁止令や不要不急の外出禁止などが国レベルで発動されると、こういった企業は売上が立たず企業存続の危機が懸念されます。
企業存続のためには資金確保が必須条件となるため、極力支出を抑えなければならず、その結果が上記のような企業事例になっていると言えます(資金確保の重要性が「?」な方は下記記事を参考にしてください)。
そこで今回は、人件費をテーマにしつつ、それぞれの企業対策について考察していきたいと思います。

「人件費」の基本的性質

まず基本的なことですが、ベクトルを合わせるために「人件費の性質」を企業目線から紹介していきます。
人件費自体の性質はいくつかあるでしょうが、今回の記事に関連する点を2つほどあげたいと思います。

【性質①】人件費は「労働サービスの対価」

一つ目の特徴は、人件費は労働サービスを享受・消費した対価として支払うという点です。
「そもそも何で従業員にお給料を支払うのか?」という一見幼稚な質問に対する回答になりますが、「従業員を雇ってあげてるから支払う」「従業員の生活を支えるために支払う」わけではありません。

企業が扱うモノであれサービスであれ、必要としている顧客に価値を届けるために従業員であるヒトの力が必要だからです。つまり、企業は従業員が生み出してくれた労働サービスを使い、それによって顧客に価値を届けて売上を獲得しているということです。

このように労働サービスを提供してもらった対価として人件費を払っているのが最初の特徴です。

【性質②】人件費は「固定費」

二つ目の特徴は、基本的に人件費は毎月発生する固定費であるという点です。
「固定費」というのは費用を「売上との関連性」を軸とした分類方法なのですが、毎月発生する費用と理解してもらえればOKです。

固定費の具体例としては、下記のような費用が存在します。

固定費の代表例
・オフィス家賃 ・水道光熱費 ・通信費 ・倉庫保管費 ・従業員給与(人件費) etc

企業の業績が順調な時はさほど意識することはないかもしれませんが、「人件費が固定費である点」は企業経営の観点から何が重要なのでしょうか?
それは業績不振などを理由として売上が落ちている状況でも、労働サービスを消費している以上、毎月労働契約書で定めた賃金を支払い続けなければならないということです。

つまり、売上に関係なく費用が発生することで利益を圧迫し、キャッシュアウトし続けてお金が減るということです。売上が立たないような状況下では、いかに固定費が影響を及ぼすかがわかると思います。

一応誤解のないように補足しておきますが、固定費が悪いわけではありません。
コロナウイルスのような緊急時には企業経営にインパクトをもたらすので、日頃から固定費管理の意識を持って企業経営に取り組んだ方が良いという意味です。

【考察①】緊急時に人件費負担を軽く出来ないか?

では今回のコロナウイルスのような影響で、オフライン事業を展開する企業の売上が激減または皆無になった時、どうすればいいでしょうか?

そもそもビジネスをする上での土壌というか前提が崩れているので、本来ならば国の支援レベルでしょうが、頼れる保証もないので「企業努力」で何とか出来ないかを考えることも重要でしょう。

「コレ!」といった絶対的な答えはないですが、人件費に限って言えば「固定費の変動費化」が一つのアイディアになるのかなと思います。人件費は固定費という話を先ほどしたので、言い換えれば人件費の変動費化という表現でもいいでしょう。

なぜ変動費化がアイディアになるのかと言うと、変動費は売上に比例して増減する費用だからです。
固定費は売上関係なく出続けるので、花粉症の時に意図せず出続ける鼻水(?)のようなものですね。
(この時期花粉症でツラいので、雑な例となりスミマセン笑)

「緊急事態で売上が上がらないから、それに合わせる形で費用も抑えたい」というニーズに応えるのが人件費の変動費化というイメージです。ただ、人件費は通常「企業」と「従業員」の間で交わされる「労働契約」に基づくものなので、簡単に切り替えることは出来ませんし、いきなりそんなことをしてはダメです。

「新規」「今後」「契約完了後」をキーワードに考えてみてください。

【考察②】人件費の変動費化をするアイディア

では実際、人件費を変動費化するためにはどのような方法があるでしょうか?
結論から言うと、下記のような方法があります。

人件費を変動費化する例
・外注費 ・業務委託費 ・非正規雇用(アルバイト等)
外注費や業務委託費の場合は、企業外部の人と契約を結んで労働サービスを提供してもらうイメージです。
IT企業を始めとしたオンライン事業が可能な企業であれば、クラウドワークスやLancersといったクラウドサービスを用いて委託することも簡単だと思います。
一方で、オフライン事業を展開する企業の場合は、「多くの人への接客」が求められるため非正規雇用(アルバイト等)の方が性質的に向いているかと思います。
「外部委託すると業務内容がブラックボックス化する」、「アルバイトだと企業への責任感やロイヤルティ(忠誠度)が弱い」といった意見もあるでしょうが、正直それは「工夫」次第です。
いざという時のアイディアの一つとして、人件費の変動費化という考え方も知っておいてください。

【企業事例①】オリエンタルランド

ではここから企業事例2つについて簡単に触れていきたいと思います。
まずは、ディズニーリゾート事業を展開するオリエンタルランドですが、コロナウイルスの影響を受けて臨時休園を余儀なくされています。そして、臨時休園に伴いアルバイトを中心とした非正規雇用の方々に対しては、「予定していた勤務シフト」を解除したことから、労働組合から「休業手当払ってよ」と要請されているようです。

企業目線の意見

企業目線に立った場合、オリエンタルランドの戦略は悪くないと思います。
なぜなら、パーク運営を始めとした多くの人は「非正規雇用」となっており、人件費の変動費化が図られているためです。

そのため、今回のような非常事態でもキャッシュアウトを最低限に抑え、倒産しないような工夫をしているのは評価出来るのではないでしょうか。ただ、実際問題として従業員の生活がかかっている以上、今回のようなイレギュラー時には、例えば「休園時から2週間以内のシフト提出者」に対して「特別」に給与支払いをするのもアリかなとは思います。

労働サービスを消費していない以上、本来「例外」を作るべきではないですが、そこは企業へのロイヤルティ(忠誠度)を高めるためにも、「ディズニー的対応」をしてもいいのではないかなと思います。ディズニーの資金の豊富さは下記でも解説していますので、参考にしてみてください。

従業員目線の意見

記事にもあるように「生活がかかっている」という方の気持ちはわかりますが、他の収入源を確保出来るように努めた方が賢明だと思います。ディズニーのことが好きで働いているならなおさらです。

詳しいことはわからないので勝手なことは書けませんが、今回のような「企業都合」によらないと解釈出来るケースでは、休業手当の支払義務は「企業側」に生じないようにも思えます。
オリエンタルランドの就業規則にも何かしらの記載があるのでしょうが、そこも踏まえて企業側とうまくやり取りして欲しいものですね。【厚生労働省HPより】

【企業事例②】シルク・ドゥ・ソレイユ

では最後にもう一つの企業事例、「シルク・ドゥ・ソレイユ」について見ていきましょう。
こちらはオリエンタルランドとは異なり、「企業側」のアクションとして従業員の95%を解雇するというものでした。

「他の選択肢はない」とコメントしているように、色々考えつくしてのことだとは思いますが、「プロのパフォーマーを解雇して終わり」だと、今後の復帰を視野に入れた管理コストも高くつくので、「業務委託や非正規雇用の選択肢はなかったのかな?」と個人的には思います。

また、YouTubeのようなライブ配信プラットフォームを利用して、各国の有名インフルエンサーの力を借りつつ、ネットライブをして収益化しても良かったのではないかとも思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は企業事例2つをもとに、「人件費の変動費化」について見てきました。

企業側と従業員側の最適解が「固定費」として表れているのが通常だとは思いますが、緊急時に備えてあらゆる選択肢を企業として考え、従業員にも日頃から理解してもらう取り組みをすることが重要になるかと思います。

では今回はこのへんで。