Quality of Life Nomad ゲーム理論 思考法

「買い占め問題」を解消するために知って欲しい「ゲーム理論」の考え方

こんにちは、TAKです。
新型コロナウイルスの影響が日本でも深刻となってきましたが、今回も「買い占め問題」を解消することを目的とした記事を書いていきたいと思います。

前回は「最適化」という考え方から買い占めを減少させる記事を書かせてもらいましたが、今回は「ゲーム理論」という考え方から買い占めを減少させる記事を書きたいと思います(前回の記事は以下です)。

【こんな人に読んで欲しい記事です】
1. 何か起こると「買い占め行動」に走ってしまう方
2. 今後、「買い占め」問題を少しでも減らしたいと考えてくれている方
今回紹介するゲーム理論とは、人間の意思決定や駆け引きについて考える理論です。
大学の経済学部などで選択科目としても学べる学問ですが、概要を知っておくだけでも「買い占め問題」に代表されるような「利己的な行動」を減らすことが出来ます。
前回記事との関連性から「買い占め問題」をテーマにあげていますが、それ以外の様々な問題にも適用出来る幅広い思考法なので、是非日常生活でも参考にしてみてください。

ゲーム理論とは

ゲーム理論と聞くと、「なんか楽しそう」と思われる方が多いかと思います。
実際、僕も「なんか面白そう」と興味本位で本を読んで勉強したくらいです。が、実際には名前とは裏腹に難解な側面を持ち合わせている学問ともいえます。

そこで今回は極力難しい用語は使わずに、親しみやすい具体例の紹介を通じて「ゲーム理論」の概要をなんとなく知ってもらい、その後「買い占め問題に当てはめるとどうなるか?」を考えていきたいと思います。

ゲーム理論とは「駆け引き」を考える学問

ゲーム理論は、数学者フォン・ノイマンと経済学者モルゲンシュルテンによって1944年に考案された学問です。当時、経済学を中心に市場メカニズムを説明することに躍起になっていましたが、すべてを経済学で説明することが出来ないという問題にぶち当たっていました。

なぜなら、その背景には理論では説明しきれない「人間の行動」や「人々の駆け引き」という要素が存在していたためです。そこで、こういった人間の駆け引きに基づく行動や意思決定を考える学問として「ゲーム理論」が誕生したと言われています。

今回の趣旨から外れるので詳細は紹介出来ませんが、ゲーム理論を考える上では数学者ナッシュという人物が非常に重要な存在になっています。彼は、1950年の論文で「ナッシュ均衡」という概念を発表し、これによってゲーム理論の有用性が飛躍的に高まったと言われています。

「駆け引きを考えるって何?」という疑問を解消するために、有名な具体例を紹介していきます。

有名な「囚人のジレンマ」とは?

詳しい説明は省略して、「囚人のジレンマ」という具体例を見ていきたいと思います。
比較的有名なので知っている方もいるかもしれませんが、復習もかねて見てください。

【具体例】囚人のジレンマ
とある罪を犯した二人組(AとB)が現行犯で逮捕されました。
有罪にするための十分な証拠がなかったため、両者の自白のみが頼りでした。
そこで、検察が以下のような司法取引を持ち掛けた時、両者はどのような行動を取るでしょうか?

これをわかりやすいように表(マトリックス)にしてみると、以下のようになります。

(※これは利得表と呼ばれる表で、自分と相手が取った行動の結果を数値化したものです。)
この記事を読んでくれてるみなさんは心優しい方なので心苦しいですが、もし囚人A or Bの立場だったらどう行動するのが合理的でしょうか?少し考えてみてください。
「囚人のジレンマ」では「利己的」な行動を取る

囚人Aの立場に立って考えてみましょう。
もし「Bが黙秘」するのであれば、自分が「自白」することで釈放されます。
もし「Bが自白」するのであれば、自分も「自白」した方が懲役3年で済みます。
つまり、自分の利益を追求するならば、相手Bの行動に関わらず「自白」した方が良いと言えます。

そして、囚人Bも全く同じことを考えます。
両者ともに「釈放」されたいと考えますし、「罪は軽い(短い)」方がいいと考えるので当然ですよね。
ただ、囚人AもBも同じように考えた結果、両者の懲役は「3年」となるのです。

これが何を意味するかわかりますか?
これは、両者が「協力」していれば罪は「1年」で済んだのに、両者が「自分勝手」な行動を取った結果、罪が「3年」となったということです。

■ 協調的な行動を取ることによって、両者の罪は「1年」になる。
■ 利己的な行動を取ることによって、両者の罪は「3年」になる。
少し頭を使いますが、面白い例ですよね。
この具体例を踏まえた上で、「買い占め問題」について考えていきましょう。

「買い占め問題」を考えてみる

モデルの設定

それでは実際に、ゲーム理論の考え方を「買い占め問題」に当てはめてみたいと思います。
ここでは先ほどの「囚人のジレンマ」と比較しやすいように、一般的な人間心理を想定して以下のようにモデリングすることにします。

【具体例】買い占め問題
・一般的な人間心理を想定して感じる価値を設定
・(ケース①)みんな在宅している場合、コロナ疲れを起こして「-1」の価値を感じる
・(ケース②)みんな買い占めする場合、買いたいものが買えず「-3」の価値を感じる
・(ケース③)自分だけ買い占めする場合、一時的な満足感により「0」の価値を感じる
・(ケース④)他人だけ買い占めする場合、自分が買えない不安より「-5」の価値を感じる

「一般的」にはこのような思考や価値に基づいて行動していると考えられます。
この仮定に基づいた場合、「一般的な自分」と「一般的な他人」はどのように行動するでしょうか?

買い占め問題は「利己的」な行動結果の表れ

先ほどの囚人のジレンマと合わせる形で考えてみましょう。利得表を書くと以下のようになります。

「自分」の立場に立って考えてみましょう。
もし「他人が在宅」するのであれば、自分は「買い占め」することで一時的な満足感が得られます。
もし「他人が買い占め」するならば、自分も「買い占め」した方が損する気分を少しマシに出来ます。
つまり、自分の利益を追求するならば、他人の行動に関わらず「買い占め」した方が良いと言えます。

そして、他人も全く同じことを考えます。
ただ、自分も他人も同じように考えた結果、両者の感じる価値は「-3」となるのです。

言い換えれば、両者が「協力」していれば感じるは「-1」で済んだのに、両者が「自分勝手」な行動を取った結果、感じる価値が「-3」となったということです。

■ 協調的な行動を取ることによって、両者の感じる価値は「-1」になる。
■ 利己的な行動を取ることによって、両者の感じる価値は「-3」になる。
ゲーム理論の考え方からしても、一般的な人間を想定した場合、買い占めが起こってしまうのはある意味当然の結果ともいえます。が、先ほどから「一般的な」とつけているように、これは僕らが目指すべき人間のカタチではありません

ゲーム理論は「駆け引き」を考える学問でもありますが、「協調的」な行動を取れる戦略を考えるヒントにもなると個人的には思っています。最後に、協調的な行動を目指すためにはどうすべきか、考えていきたいと思います。

「協調的」な行動を目指すには

いきなり結論から入ります。
先ほどの利得表は、理解しやすいように「囚人のジレンマ」と合わせる形で損得を考えましたが、今コロナウイルスの危機に世界中がさらされていることを考えた場合、利得表は下記となるべきです。

先ほどのケースと比較してまとめていきます。

(ケース①)みんな在宅している場合、コロナ疲れを起こして「-1」の価値を感じる
⇒ 「コロナ疲れ」という言葉がTwitterでトレンド入りしたのであえて書きましたが、ありえません。家にいることで自分や周りの大切な人を守ることに繋がることがわかっていないのでしょう。
むしろ、家にいるだけで自分の好きなことをしたり、これから先のことを考えるいいキッカケになるとプラスに考えれば、感じる価値は「100」になるでしょう。
(ケース②)みんな買い占めする場合、買いたいものが買えず「-3」の価値を感じる
⇒ みんなが買い占めした場合、困る人が多発するだけでなく、コロナの感染力を考えるとその行為自体が愚かと言えます。最悪、全員その場で感染して被害が拡大、終息が遠のくので「-500」になると考えるべきでしょう。
(ケース③)自分だけ買い占めする場合、一時的な満足感により「0」の価値を感じる
⇒ 買い占めとか恥ずかしい行為自体がダサいので、「-100」の価値を感じるべきです。普通に生活していれば、生産者や物流の方に必要以上の負担をかける必要もないです。自分の一時的な欲求のために他人を犠牲にしないように自覚するべきです。
(ケース④)他人だけ買い占めする場合、自分が買えない不安より「-5」の価値を感じる
⇒ 周りを見て不安に思う必要はないです。「在宅」している自分を褒めてあげましょう。
つまり、「在宅」(不要不急の外出を控えると読み替えてもOK)という行動の価値が「絶対的」に高い状況を作り出すことが非常に重要と言えます。
そのためには、買い占めをしている人や不要不急にもかかわらず外出するといった、「利己的な行動」を取る人に対して、「その行動の価値がいかにマイナスか」を理解してもらう必要があります。

個人レベルではTwitterで呼びかけたり、海外のニュースをシェアする等の取り組みが大事になりますが、それでも「利己的な行動」をやめない人がいるのも事実です。そういった場合には、国としてペナルティを課すというのもアリだと思います(日本にそこまでの実行力があるかはわかりませんが)。

ただそれは最後の手段なので、最も理想的な形としては、一人一人が自覚を持った上で行動する「協調的な社会」を目指すことです。「理想」で終わらないようにしたいものですね。

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は「ゲーム理論」を中心に、「買い占め問題」に代表される利己的な行動を減少させる考え方を紹介してきました。

「理想」で終わらないように、「協調的」に考えられる人が一人でも多くなることを願っています。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

最後に、「ゲーム理論に興味がある」方向けにオススメの書籍を紹介しておきます。
多くの書籍がありますが、図解付きで僕にはこの本がわかりやすかったので、オススメです。

では今回はこのへんで。