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【確定申告シリーズ】FXの「確定申告」についてわかりやすく解説

PR 会計税務を学ぶ

こんにちは、TAKです。
今回は、FXの確定申告について紹介していきたいと思います。

・ 国内(海外)FX業者を使って得た収入って確定申告する必要あるのかな?
・ 副業でFXをやっている場合はどうすればいいんだろう?

といった疑問を持たれている方向けに、シンプルに解説していきます。

【こんな人に読んで欲しい記事です】

● FXで収入を得ているトレーダーの方

● これからFXを始めるにあたって税金周りを知っておきたい方

税金は種類も色々あり、内容も複雑でわかりにくいです。
税金に対する理解度や仕事環境によっても、取るべき行動が変わってきます。

そこで今回は、ポイントを抑えつつ、以下のケースを視野に入れながら紹介していきたいと思います。
・ サラリーマンである人が「副業」としてFXをしている場合(以下、ケース①)
・ サラリーマンでない人が「本業」としてFXをしている場合(以下、ケース②)

ちなみに今回の記事で関連してくる税金は「所得税」となります。
以下記事で、所得税の全体像や基本的な考え方について紹介しているので、そちらに目を通してから本記事を読み進めてもらえると、より理解度が増すかと思います。

最初に「確定申告の必要性」を確認し、その後に「国内FX業者と海外FX業者の違い」を踏まえた上で、ポイントとなる「2つの論点」を紹介していきます。

確定申告の必要性について

「そもそもFXで収入を得た場合は確定申告をする必要があるのか?」
まずはこの点を確認しておきます。

結論としては、FXでお金を得ている以上、それは「所得」になるので確定申告が必要となります。
(国内FX業者を利用していても、海外FX業者を利用していても同じです。)

なぜかと言うと、所得税法では「包括的所得概念」と基本的な考え方が採用されているからです。
これは、ざっくり言ってしまえば「何かしてお金を得たら、それはほぼ所得になる」という考え方です。

そのため、FXで収入を得ていたら、原則として「確定申告が必要」と認識しておいた方が良いでしょう。
「確定申告が必要なのに、していない場合」が最もリスクが高いです。

ただ、例外的に確定申告が不要となるケースもあります。
・ ケース①(サラリーマン+副業)   ・・・ 年収が2,000万円以下で副業収入が20万円以下の場合
・ ケース②(サラリーマン以外+本業) ・・・ 所得の合計額が所得控除額を下回っている場合

ケース①は所得税法第121条にある規定です。
会社からもらうお給料の他に、少額のFX収入を得ている方が該当するイメージです。

ケース②は「FXで得た所得(=収入-必要経費)」が「所得控除額」より小さい場合です。
誰でも適用出来る所得控除として「基礎控除(38万円)」があるので、38万円以下である限りは確定申告は不要と言われることも多いです。

と、例外的に確定申告が不要なケースも一部見てきましたが、
継続的にトレードをしている方であれば、例外となる金額基準は軽く超えるようになるはずです。

そのため、FXでお金を得ていたら、基本的には確定申告が必要と理解しておきましょう。

次からは、「国内FXと海外FX」の違いや「税法上の論点」について紹介していきます。
ポイントをしぼって解説していくので、基本的な内容だけでも理解してみてください。

「国内FX」と「海外FX」の違い

まず最初のポイントは、国内FXか海外FXかで税金の計算プロセスが大きく変わるという点です。

違いを簡単にまとめると以下表のようになります。

【まとめ表】国内FXと海外FXの違い

実際の税額計算はシステムや税理士が計算・代行してくれるので、ここでは赤字部分を中心に基本的な考え方を抑えておきましょう。

1つ目のポイントは「総合課税」か「分離課税」かという点です。
これは税法用語で難しいので、簡単に言ってしまえば「所得を他の所得と合算するかしないか」と理解してもらえれば十分です。

国内FXの場合は「雑所得」という区分にわけられ、他の所得とは合算せずに独立して計算するプロセス(=分離課税)を経ることになります。対して、海外FXの場合は同じく「雑所得」に区分されるものの、他の所得と合算してあわせて税金を計算するプロセス(=総合課税)を経ることになります。

この違いが何に影響するのかというと、最終的な税額に影響を与えることになります。
なぜなら、国内FXと海外FXとでは適用する税率が異なってくるからです。

これが2つ目のポイント「適用税率の違い」です。
国内FXの場合は所得がいくらであっても一律の税率(20.315%)が適用されるのに対して、海外FXの場合は所得が増えれば増えるほど適用税率も高くなる方式(=超過累進課税)が採用されています。

言葉だけだとイメージしづらいので、両者の適用税率の違いを図にしてみました。

適用税率の違い|国内FX vs 海外FX

細かい話をしだすとキリがないので、「国内FXの適用税率は一定だけど、海外FXの適用税率は所得が増加するほど上昇する」と理解しておいてください。

税金の話からは少しそれますが、「適用税率の差」から言えることとしては、①海外FX業者を利用したトレーダーの方で、②所得が一定以上になってきた方は、法人を設立した方が節税出来るということです。

上図を見ると、所得の上昇に合わせて適用税率(赤い☆)も上昇しているのがわかるかと思います。
ざっくり目安ですが、700万円あたりを超えると国内FXの適用税率を超えることにもなるので、ここらへんから法人の設立を検討してみてもいいのかなと思います。

会社設立については以下記事で紹介しているので、良ければ参考にしてみてください。

他にも国内FXと海外FXの相違点はあるのですが、少し細かい話になるのでここでは割愛します。


次からは、2つの論点について紹介していきます。
「なんで論点があるの?」って感じですが、語弊を恐れず言えば「絶対的な正解がないから」です。

これは、申告側(自分もしくは税理士)の判断と税務局側の判断が異なるケースがあることが原因です。
「なぜ判断が異なるケースが生じるか」というと、申告側は税金を安くしたいインセンティブが働くのに対して、税務局側は(出来るだけ)税金を高くしたいというインセンティブが働くためです。

その点を踏まえて、2つの論点について見ていきましょう。

【論点①】 所得区分は「雑所得」で問題ないか?

【論点②】 所得計算時に控除出来る必要経費の範囲は?

論点①|所得区分について

まず最初は、FXで得た収入が「雑所得」で問題ないかという点です。

結論から言えば、ほぼ問題ないです。
「論点になってないよ!」と怒られてしまいそうですが、理論的には「事業所得」に該当する可能性(判例)もあります。

事業所得に該当すると、他のマイナス所得と合算して節税効果を得られる「損益通算」という制度を適用出来たり、「青色申告」という税制上の恩恵制度を適用出来たりと、結構大きなメリットを得られます。

そのため、申告者側としては「事業所得」として申告したいインセンティブが働くのですが、確率的には「雑所得」になる可能性が高いように思えます。

実務上は、画一的に判断出来るわけではないので、「事業所得として申告できるか知りたい」といった方は税理士に相談してみてください。

論点②|経費への計上可否について

続いて2つ目の論点は、「必要経費」として何が計上出来るのかに関する判断です。

そもそも所得税では、個人が得た「所得」に対して税金が課されます。
そして、この所得は「収入から経費を控除した金額」として算出されるものです。

FXを例にすれば、
・ トレードで合計100万円稼いだ(= 収入)
・ 書籍代やセミナー代などのコストが合計10万円かかった (= 費用)

このような場合には、収入(100)からコスト(10)を控除した90万円が所得になるということです。

基本的な考え方として、申告者側には「税金を安くしたい」というインセンティブが働くことは先ほども紹介しました。では、上記例で税金を安くするために申告者側が取り得る手段は何でしょうか?

それは、何でもかんでも経費として計上することです。
上記例のコストは10万円でしたが、FXとはまったく関連がない趣味代を上乗せするイメージです。

「こういった方法が認められるのか?」というと、当然認められません。
なぜなら、所得税法では「必要経費」として計上出来るものについて法令で定められているからです。
(参考:所得税法第37条

これも簡単に言えば、「FXに関連したもの」でないと経費として認められないということです。

「え、じゃあ何が経費になるの?」「○○は経費になるの?」という疑問が当然生まれますが、これも自分で判断出来ないのであれば、税理士に相談すべきでしょう。

こちらも一応の目安を示しておくと、
・ トレード関連の書籍代
・ FXのセミナー代
・ その他(FXトレード用に購入したPC、通信費など ※)

これらは必要経費として認められる可能性は高いです。
ポイントとしては、「客観性と合理性を持って説明出来るか?」という視点につきます。

急に税務調査が入り、「この費用(例えば上記※)はFXと関係あるのですか?」と聞かれた場合に、
・ 何も答えられない
・ 曖昧な説明しかできない
・ 関係あることを示すデータがない

といった状態であれば、ほぼアウトになります。
FXで費用が発生した場合には、「これは経費かな?」という意識を持ちつつ、常に管理するようにしてみてください。

さいごに

今回は、FXの確定申告について解説してきました。

以上の内容を踏まえた上で、自分で対応出来そうな方であればご自身で確定申告してみてください。
「自分のケースがどうなのか今一つわからない」「自分で申告するのはちょっと不安」という方であれば、自分が信頼出来る税理士にお願いしてみるのがベストでしょう。

税理士を探す方法はいくつかありますが、税理士ドットコム」や「税理士紹介エージェント」あたりが探しやすいのでオススメです。

実際に税理士を選ぶ際のポイントについても以下記事で紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。

では今回はこのへんで。