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【財務指標】売上高利益率とは?意味や計算方法を図解します

こんにちは、TAKです。
今回は、財務指標の一つである「売上高利益率」について紹介していきたいと思います。

厳密には、「売上高○○利益率」と呼ぶのが一般的ですが、この点は後ほど詳しく見ていきます。
この記事では会計の知識があまりない方でもわかいやすいように図を用いて解説していきますが、「PL(損益計算書)の構造」や「簿記の基本」がわかっていた方が望ましいです。

【こんな人に読んで欲しい記事です】

● 財務指標の一つである「売上高○○利益率」について知りたい方

● 「売上高○○利益率」と「ROE・ROA」との関係性を知りたい方

前半部分で「売上高利益率の概要と計算方法」を紹介し、後半部分で「ROEやROAとの関係性」を紹介していいます。ROEやROAについて知らない方でも、記事内にリンクを貼っておくので、読み進めることで「どういった関係にあるのか?」を自分の言葉で説明出来るようになるはずです。

「売上高利益率」の意味と計算方法

売上高利益率の考え方

まずは、「売上高利益率」とは何かを確認していきましょう。
これは一言で言えば、「売上」に対する「利益」の割合を知るための指標です。

例えば、売上が100で利益が20なら売上高利益率は「20%」になりますし、売上が1000で利益が20なら売上高利益率は「2%」となります。

売上高利益率の考え方(イメージ図)

図で表すと、上図のようなイメージになります。
「青色部分に対して赤色部分がどのくらいか」を見れば、売上高利益率の計算が可能です。

「そもそも売上高利益率が必要になるのはなぜ?」と思われる方もいるでしょうが、売上高利益率を始めとした財務指標が用いられるのは「規模の異なる企業同士の比較をしやすくなる」ことが理由としてあげられます。

売上高利益率を用いる必要性

先ほどの例のように、利益「20」を生み出す2つの会社「A社」「B社」があったとして、両社の資本力(規模)が異なっていれば、当然使える経営資源も異なり、結果として生み出せる売上も異なってきます

つまり、利益「額」だけでは背景にある規模を考慮した比較が出来ませんが、利益「率」を見てあげることでその会社の効率性を通じて企業間比較が出来るようになるということです。「利益額はどっちも20だけど、A社の方が効率良さそうだな」とか「業界平均値は20%程度なのに、B社は2%とか低すぎる。無駄な費用が発生しているんじゃないの?」みたいな考察の出発点やキッカケを得ることが出来るようになります。

損益計算書における段階損益

「売上高利益率」の基本的な考え方をお伝えしてきましたが、一般的には「売上高利益率」という言葉はあまり使わないと思います。なぜなら、「売上」に対する「利益」を見るにあたって、損益計算書上においていくつもの「利益」が存在するためです。

簿記3級の資格を持っている方や、会計の勉強をしたことがある方なら知っているかと思いますが、損益計算書(日本基準)は以下のような構造になっています。「損益計算書知らない」という方は、ビジネスにおいて会計知識は持っておいた方がいいので概要だけでも抑えておきましょう。

損益計算書の構造(日本基準)

上図赤色部分に示したように、損益計算書には「○○利益」がたくさんあるのがわかりますね。
これを段階利益(損失も含めると段階損益)と呼びますが、いずれの場合でも「青色部分に対する赤色部分の割合」を求めることで「売上高○○利益率」を求めることが出来ることを知っておいてください。

「売上高利益率」の種類

売上高利益率の種類(売上高○○利益率)

では実際に、どのような売上高利益率があるかを見ていきましょう。
「売上高○○利益率」の「○○」部分には、損益計算書における段階利益の名前を当てはめて呼ぶことが多いです。今回紹介する売上高利益率は以下の4つです。

【種類①】 売上高総利益率(売上高粗利率)

【種類②】 売上高営業利益率

【種類③】 売上高経常利益率

【種類④】 売上高純利益率

種類①|売上高総利益率(売上高粗利率)

まず最初は、「売上高総利益率」(別名:売上高粗利率)です。
これは、「売上」から「売上原価」を差し引いた「売上総利益(粗利益)」を基準とした対売上高指標です。

図で表すと以下のようなイメージになります。

売上高総利益率(売上高粗利率)のイメージ

これは、企業が顧客に提供している財やサービスそのものの収益性を把握出来る指標となります。
業界によって売上高の大きさや原価構成が異なるので、「メーカーであれば原価に材料費・労務費・経費などが含まれてるな」「コンサルであれば原価は人件費メインだな」みたいなことを意識するといいですよ。

種類②|売上高営業利益率

次は、「売上高営業利益率」です。
これは、「売上総利益(粗利益)」から販管費(販売費及び一般管理費)を控除した後の「営業利益」を基準とした対売上高指標です。

図で表すと以下のようなイメージになります。

売上高営業利益率のイメージ

これは、企業が本業からの収益力を測りたい時に使える指標となります。
販売費及び一般管理費に含まれる項目は、ビジネスをする上で(財・サービスを生み出し顧客に提供する上で)必要不可欠な費用です。人件費やオフィス費が代表例ですが、従業員に対する給料や製品を生み出す場所がなければ、顧客へ価値を届けるのは難しいため、こういった費用を差し引いた後の「営業利益」は重視されます。

企業の本業から稼ぎ出す力を知りたい時や業界内の収益性分析をしたい時に使うことが多いですね。

種類③|売上高経常利益率

続いて、「売上高経常利益率」です。
これは、「営業利益」から本業とは関係ない損益を加減算した後の「経常利益」を基準とした対売上高指標です。 図で表すと以下のようなイメージです。

売上高経常利益率のイメージ

これは、事業をする上で経常的に発生する項目を考慮した後の収益性を把握したい時に使える指標です。
本業とは関係なく発生した損益を反映させている点が、先ほどの営業利益とは異なっています。

多額の投資資金を必要とするメーカーであれば、通常銀行借入や社債発行などで資金調達をしていますので、(本業とは関係ないですが)毎年債権者に対して「利息」を支払い続けて費用が発生しています。

また、ソフトバンクがいい例ですが、中国アリババを始めとした数多くの会社に投資をして持分法適用会社としているため、(本業とは関係ないですが)毎年投資先の業績と持株割合に応じて「投資収益」を獲得しています(2020年にアリババの株も一部手放したので、今後は減少傾向になりそうですが)。

いずれの場合も、本業とは関係なくても利益に大きなインパクトを与えているならば、そのインパクトを反映した「経常利益」をベースとした指標を見ることにも意義が出てくると言えます。

種類④|売上高純利益率

最後は、「売上高純利益率」です。
これは、「経常利益」から一時的・偶然的に発生した損益を加減算し、税金を控除した後の「当期純利益」を基準とした対売上高指標です。 図で表すと以下のようなイメージです。

売上高純利益率のイメージ

これは、企業が「最終的に獲得した利益」に着目したい場合に使える指標です。
最終利益は、実質的に株主に帰属する利益でもあるので、株主目線の指標とも言えますね。

売上高純利益率は、この後紹介する「ROEとの関連性」においても重要になる概念です。

以上が、「売上高利益率」に関する種類の紹介となります。
いずれの場合でも、売上高(青色部分)に対する段階利益(赤色部分)の割合を求めることで「売上高利益率」の算出が可能となるので、「何を知りたいか?」という目的に応じて使い分けるようにしてみてください。

「売上高利益率」とROEやROAとの関係性

最後に、「売上高利益率」と「ROE・ROA」の関係性を紹介しておきます。
「ROE(自己資本利益率)」の本質を理解してれば、その関係性は簡単にわかりますので、ここでは結論だけを簡潔にお伝えします。

「ROEとROA」については、以下記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。

結論としては、「売上高利益率はROAの一部であり、ROAはROEの一部」と言えます。
これは、上記記事内でも紹介している「デュポン・システム」がその根拠となります。

売上高利益率とROE&ROAとの関係性

企業の「収益性」を把握したい場合に使える方法が「売上高利益率」(上記の場合は「売上高純利益率」)となるので、気になる企業の分析をしたい時や、自社の分析に役立てたい方は是非使えるようにしてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、財務指標として「売上高利益率」について図解という形で紹介してきました。
似たような言葉が多くて最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、「損益計算書の段階損益構造」と「自分が今何を知りたいか」の2点を抑えておくことで、より理解が深まるようになるはずです。

では今回はこのへんで。